前回は、囚人のジレンマゲームを派遣で起こることのある「引き抜き」と「シフト」に関連付けて説明し、その際のナッシュ均衡が双方裏切りになりがちだと説明しました。

20150331

しかしながら現実には、派遣元と派遣先はそんな悪しき間柄ではありません。

それはなぜか?

考えてみればお分かりのとおり、派遣元と派遣先の関係は、通常は一回限りではなく反復継続するものです。

長期継続する関係下では、条件はあるものの、裏切りよりも協調行動によるメリットを選択することがあります。

たとえば、派遣元が協調したにも関わらず派遣先が裏切ったとします。

一回限りならこれでおしまいですが、ずっと続いた場合のトータルの得失状況はどうなるでしょうか。

一回目は協調した派遣元も、今度は黙ってはいられないので、その後は裏切り続けるかもしれません。

こうなった場合の利害得失状況は、<派遣先=3+1+1・・・>、<派遣元=0+1+1・・・>となります。

これに対して、最初から双方協調するとどうなるかというと、<派遣先=2+2+2・・・>、<派遣元=2+2+2・・・>となります。

派遣先の数字を見てください。

一回目の段階では、裏切りなら3点、協調なら2点となって裏切りのほうが得ですが、二回続くと、裏切りでは3+1で4点、協調でも2+2で4点と同点になり、さらに三回続くと、裏切りでは3+1+1で5点に止まるのに対し、協調では2+2+2で6点となり、協調のほうがメリットが大きくなります。

これは一例ですが、長期的関係においては、協調がナッシュ均衡になるケースがありうることを示しています
※興味を持たれた方は「無限回繰り返しゲーム」、「フォーク定理」などをご参照ください。

もっとも、囚人のジレンマゲーム自体、双方のコミュニケーション不足状態が疑心暗鬼を招くということが起点になっていました。

根源的に最も良いのは、ジレンマ回避のために派遣元、派遣先で良好なコミュニケーションを図り、双方ともにメリットが得られる関係を築くことにほかなりません。

「引き抜き断固阻止!」

強硬な姿勢は水面下での動きを誘発します。

今であれば、「○年後ならスカウト可能」「手切れ金をいただければいいですよ」などの事前交渉をするかもしれません。

もちろん、そのときはスタッフの利益を十分に考慮する必要があります。

スタッフがいなくなってしまったら、元も子もありませんから。

※状況を単純化して記述しましたが、人間関係、社会関係はもっと複雑です。
そして、これにも適応できるよう、現在のゲーム理論自体も進化していると言われています。

派遣の仕事

ちょっとこじつけ的ですが、スタッフ引き抜きに関してゲーム理論を当てはめてみましょう。

前提条件として、派遣元と派遣先との間で以下のような取り決めが存在することとします。

「派遣継続中は、派遣先は引き抜き行為をせず、派遣元は他の派遣先へのスタッフシフトをしないことを原則とする。

ただし、次の場合は、引き抜きや他の派遣先へのシフトが可能。

(1)派遣先は、スタッフのスカウトを行う際には、派遣元に対して紹介料類似の金銭(以下、金銭という)を支払う。

(2)派遣元は、スタッフを他の派遣先へシフトさせる際には、派遣先に対してペナルティを支払う。

(3)1、2とも、派遣継続中にスタッフ、派遣元、派遣先の三者間での話し合いが必要。」

この場合、派遣元、派遣先の行動パターンとしては以下の四つが考えられます。

A:派遣元と派遣先が共に協調

派遣元は、他の派遣先へのシフトをすることなく派遣を継続し、派遣先は引き抜き行為をせずに派遣として受け入れ継続。

もしも引き抜きやシフトを行う場合には、派遣継続中に三者間できちんと話し合いを行い、金銭ないしペナルティの支払いですべて納得づくで解決。

B:派遣元と派遣先が共に裏切り

派遣先はスタッフに対し、「うちはあなたが欲しいです。派遣元にはご自身で退職願を出して辞めてください。

そうすれば、うちで正社員待遇します」

と言って引き抜き行為を行う。

他方、派遣元はスタッフに対し「今の派遣先よりも良い派遣先があります。そちらに行けばハイレベルなキャリアが磨けますし、派遣料金も高いのであなたの給料にもフィードバックできます。

今の派遣先には、あなた自身が仕事場に嫌気がさしたと言っておきます」

などと吹聴し、もっと高額をとれる別の派遣先にシフトしようとする。

C:派遣元は協調するが派遣元は裏切り

派遣元は、派遣先は裏切らないと考えて優秀なスタッフの派遣を継続。

ところが派遣先は水面下で動いてスタッフを転職させる。

このとき派遣先は、「あなた方のスタッフさんは、派遣会社が嫌になったので辞めたのです。

そしてその後、たまたまうちに来られたのです。派遣継続中に三者間で話し合った結果ではないので、金銭は支払いません」

と発言。

D:派遣先は裏切るが派遣元は協調

派遣先は、派遣元を裏切らないとして引き抜きは自粛。

ところが派遣元は、より好条件の派遣先にスタッフをシフト。

このとき派遣元は、

「うちのスタッフは、お宅さまの職場が合わないようです。うちとしてはスタッフの意向を重視する必要があります。派遣継続中に三者間で話し合った結果ではないので、ペナルティには該当しません」

と発言。

上記四つにおける利害得失はどうなるでしょうか?

以下の四象限に当てはめてみてください。

20150324

 

派遣の仕事

動向が気になる派遣法改正法案ですが、3月13日(金)の閣議決定を経て国会に提出される見込みです。

政府・与党は、「労働契約申込みみなし制度」が施行される10月1日より前に、改正法を施行させたいと考えており、施行日を9月1日とする方針です。

一方、民主党など野党は「派遣労働者が固定化する」として3度目の廃案を狙っています。

3度目の正直で成立させるか、2度あることは3度あると廃案になるか、いよいよ4月以降国会で審議が開始されます。

そんな中、産経新聞は、1月末の派遣業界団体の新年会で厚生労働省担当課長が派遣労働者を「モノ扱い」発言したとして、野党が攻撃を強めていると報じています。

業界団体の新年会ということで気を許したのか、ここにきての不用意な発言が、先々足を引っ張らなければ良いのですが。。。

尚、もし廃案となった場合ですが、労働契約申込みみなし制度が施行される10月1日以降、派遣現場が大混乱になることが予想されています。

26業務で派遣されている派遣労働者が「専門業務の範囲を超える仕事をやらされ、期間制限に抵触している」と訴え、派遣先に直接雇用を求めるケースが相次ぐ可能性があるからです。

ぜひとも、改正法案を成立させ、混乱を防ぐとともに、派遣市場の拡大を実現してほしいものです。

法改正議論は、我々の手の届かないところで行われているので、その結果を受け止めるしかないのですが、派遣業界が今後大きく変わっていくことには間違いありません。

法改正が行われると、派遣期間の在り方が大きく変わり、企業から見ると、今までより派遣労働者を使いやすくなるため、派遣市場は、拡大すると見られています。

その一方で、派遣スタッフが集まらないスタッフ不足が深刻化しています。

この状況を改善させようと、大手派遣会社では、法改正を前倒しして、派遣労働者のキャリア形成支援に力を入れ始めています。

リーマンショック後マスコミの報道で染み付いた、派遣は「使い捨て」という悪いイメージを払拭し、派遣にとらわれず転職希望者のキャリア形成を支援することで、派遣会社のイメージを向上させ、派遣できる登録者を増やそうというのが狙いです。

単にお仕事を紹介するのではなく、キャリアコンサルティングや教育研修を充実させ、派遣スタッフの夢と希望に向けていっしょに進んでいく方向性を明確にしています。

多少時間はかかるかもしれませんが、確実に派遣スタッフとの信頼関係が深くなり、結果的には、登録者を増やすことにつながるでしょう。

この戦略は、中小派遣会社でも早期に取り組む必要があります。

もちろん法改正が実施されれば、法律で義務付けられることですが、それを待たずに取り組んでいくことをお勧めします。

そもそも派遣会社は、派遣スタッフの希望にあった仕事を派遣先から受注してくる役目があります。

つまり、スタッフにあわせた派遣先の受注を開拓するというのが基本です。

その際、派遣スタッフのキャリアを正確につかむことが要求されるのですが、いつの間にか、一方的に派遣先からの受注を開拓し、その受注にあわせてスタッフを集め選考しているのが、今の派遣業界です。

これは、本来のスタッフのためになる活動ではありません!

大手派遣会社と中小派遣会社の違いは、頼ってくる派遣スタッフにどれだけ深くかかわれるかだと思います。

大手は、登録者数が多いためすべてに密接にかかわることはできません。

一方、中小派遣会社は、大手ほど大量の登録者が集まらないため、一人ひとりにきめ細かい対応ができるはずなのです。

それが、最近では、大手派遣会社同様、一部の優秀といわれる層の登録者しか相手にしなくなってきているのです。

それを改めなければ、中小派遣会社の優位性を保つことができません。キャリア形成支援も中小ならではのやり方があるはずです。

営業も大手にはない活動方法があるはずです。

その体制を確立できたところが、成長戦略に乗ることができるのではないでしょうか!

派遣の仕事

スタッフ引き抜きやシフトに関連する派遣元と派遣先の行動パターンを4つに場合分けしました。

(双方協調、双方裏切り、一方協調・他方裏切り×2)

このときの利害得失状況を以下の四象限でみましょう。
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双方協調のAでは、派遣元、派遣先とも長期的派遣による利益を享受でき、いざという場合も金銭支払によるスカウトやペナルティ支払いによる他へのシフトも可能なので安心です。

双方ともメリット大と言えます(便宜的に2点づつとします)。

これに対し双方裏切りのBでは、派遣は終了してしまい、派遣元と派遣先との信頼関係は崩壊します。

いきさつにあきれた派遣スタッフ自身も退職する危険性が高まります。

双方ともにデメリット大です(同じく1点づつ)。

それでは、Cのように、派遣元が協調したにも関わらず、派遣先が裏切った場合はどうでしょう。

派遣元は派遣収益と自社スタッフを失い、しかも金銭も得られないのでデメリット最大ですが(0点)、派遣先は金銭支払いをせずに人材を獲得できてメリット最大です(3点)。

反対に、Dのように、派遣元裏切り、派遣先協調の場合は、派遣先としては派遣による業務遂行が停止に追いやられ、かつペナルティも得られないのでデメリット最大ですが(0点)、派遣元はペナルティの支払い無しで自社スタッフを現在よりも好条件の派遣先にシフトできるのでメリット最大です(3点)。

このようにみると、客観的には双方が協調行動をとるAが好ましい状態だということがわかりますが、しかしながら、一方が協調したにも関わらず、他方が裏切ってしまうと強調した側は最悪の状況に陥ります。

そういう状態は避けたいわけですから、結果的には双方とも裏切る方向のBにいきがちになります。

これなら、相手方が裏切ってもデメリットは最大にはなりませんし(B対CないしDとの比較)、逆に相手方が御人好しにも協調してくれたら、最大のメリットを得られます(C、D)。

双方にとってのナッシュ均衡がやはり裏切りということになってしまう事情がここにあります。

でも、これでは派遣元と派遣先の関係はずいぶんギスギスしたものになってしまいます。

現実には、皆さま同士、基本的にうまくやっているはずです。

それはなぜでしょうか?

派遣の仕事

最近、非正規雇用の正社員化・無期化が起きています。

派遣スタッフが「派遣元」の無期社員となる、無期化は「派遣先」の正社員として迎えられる局面でも起こります。

これは俗に言う「引き抜き」現象となることがあります。

派遣会社にとって引き抜きは、収益のみならず「商品」をも失うことを意味し、二重の打撃です。

私にも経験があります。

勤めていたのは正社員を軸として化学系の受託研究開発や派遣を行う会社でしたが、苦労して雇用した社員を奪われるのは非常につらいものです。

これに関しては派遣法33条という規定があります。

派遣元としては、派遣スタッフとの雇用関係が「終了した後」にそのスタッフが派遣先に転職することを制限するような取り決めをすることは、派遣スタッフとの間でもできないし(1項)、派遣先との間でもできない(2項)という内容です。

憲法22条が保障する職業選択の自由を確保しようとするものです。

ところでこの規定は、スタッフとの雇用関係が「終了した後」における制限を禁止したものです。

したがって、反対解釈として、雇用関係の「継続中」に、たとえば派遣先にそのような制限をかけることは可能と考えられます。

実際問題、派遣して数日後に引き抜きの誘いをかけられて転職されたとすれば痛手です。

そこで、所属していた会社でも、派遣契約上に雇用関係継続中での引き抜き防止規定を設けていました。

ある時です。

お得意様の派遣先企業X社の人事の方がオフィスに来社され、「いま派遣していただいているYさんを我が社にお迎えしたい」と直接の依頼を受けたことがありました。

雇用関係継続中の引き抜き防止規定があるにも関わらず、です。

Yさんには職業選択の自由がありますから最終的には本人のチョイスの問題になりますが、人材は一番大事な資源と考えていた私はこの旨を説明したうえで、「会社としては、契約書の趣旨からしてご依頼を受けるわけにはまいりません」と申し上げました。

先方は「わかりました。派遣会社の立場をもっと考えるべきでした。申し訳ない」と帰りました。

ところがその後三か月ほど経ったころにYさんが退職願を提出してきました。

理由は故郷に帰るからとのことでした。

そしてさらに退職から半年ほど経過した時点で、X社に派遣されている他の派遣スタッフから「別の職場棟でYさんを見た」との報が入りました。

X社に転職したのです。

X社とYさんの間で水面下で打診がなされていたことは間違いないでしょう。

形式的には雇用関係終了「後」の転職ですから派遣法33条の規定により制限することはできませんし、得意先であったこともあって、それ以上は追及しませんでした。

結果として私の営業所は、Yさん派遣による収益と優秀な人材Yさんとの両方を失いました。

先方の依頼を受け入れていれば、もしかすると手切れ金的な意味合いの金銭を確保できたかもしれませんが、当然それもありません。

まあ、メリットとしては、先方に貸しをつくったこと、Yさんが派遣先に行ったことで関係強化による受注増が期待できるかもしれないことくらいでしょうか?

では私は、先方の依頼を受け入れて、その代わりに手切れ金を求めるような合意をすべきだったのでしょうか?

たしかにそうすれば一定の対価は得られたかもしれません。

でもそれでは、「お金さえもらえばスタッフ引き抜き可能」ということを認めてしまうことになります。

当時の私はそれがいやでした。

「それではまるで、派遣元は派遣先という『大学』に入学するための『予備校』ではないか?」スタッフ引き抜きを想定した場合、関係者はどんな行動をとるか?

正解は何なのでしょうか?

派遣の仕事

「今は、そこそこ注文が取れる」、「注文をとりすぎても人がいないので、無理に注文をとる必要はない」、ある程度売上のあがっている派遣会社の経営者・管理者が最近良く発言する言葉です。

本当にそれでいいのでしょうか?

その反面、派遣会社の皆様からは、「求人募集しても思うように登録者が集まらない」、「求人コストが増えすぎて困る」、「どうすれば、派遣できる登録者を増やすことができるだろうか?」という相談が増えています。

景気回復期に入り、雇用情勢が改善してきました。完全失業率も低下し、有効求人倍率は上昇し続けています。

そのため、労働市場は、人手不足状態に陥っています。

派遣会社も例外ではありません。

企業が直接雇用の募集を増やすと、派遣会社に応募してくる登録者が減ってくる。

これは、派遣業界の歴史の中でも繰り返されてきたことです。

今が、その人手不足の時なのです。

今後しばらくは、この状況が続いていくと思われます。

派遣会社の基本は、営業が受注をとってくることです。

中小派遣会社の多くは、月間の受注獲得数がそれほど多くありません。

しかし、今までは、数少ない受注にも登録者が集まっていました。

「1件しかない受注に10名の登録者が集まる」一見よさそうに見えますが、決して良い状態ではありません。

求人倍率に置き換えると、1件の求人に10人の求職者が集まっているのですから、求人倍率は0.1倍になります。

これでは、たった一人の派遣スタッフにしか満足な結果を与えることができません。

しかし、派遣事業を成功させるためには、残りの9人のうち、少なくとも半分程度に満足を与えることが大切なことなのです。

では、受注量を増やすために何をしたら良いのでしょうか?

営業は、既存顧客中心の維持活動と、新たに取引してくれる顧客を探す新規顧客開拓活動を行います。

維持活動だけでは、成長することができないため、新規顧客の開拓の成功が鍵になります。

新規の受注を増やすといっても営業が活動する時間を割けなければ、机上の空論になってしまいます。

中小派遣会社は、大手より少ない人数で業務をこなしているため、効率よく新規顧客にアプローチしてアポイントをとらなければなりません。

ただ、ここで重要なことは、アポイントをとることではなく、アポイントをとるべき新規顧客をリストアップすることです。

つまりやみくもにアポイントをとろうとしても、成功しないということに気付かなければなりません。

最初のアプローチは「売り込み」から始めてはいけません!

「人材派遣のご提案をしたいのですが」こんな売込みから始めている人はいませんか?

今では、ある程度の規模の企業のほとんどが派遣を利用しています。そんなところに売り込んでも「間に合っている」と断られてしまいます。

そこで営業に必要なのが「質問する力」です。

「質問しながら、相手の問題点を引き出し提案する」このスタイルを磨く必要があるのです。

2016年1月から「マイナンバー制度」が始まります。

マイナンバー制度とは、国民一人ひとりに12桁の番号を割り振り、税や社会保障の手続きを効率化するもので、2016年1月から運用が開始されます。

運用開始まで、残された期間は、1年を切っています。

採用活動など、企業の様々な業務に大きな影響を及ぼすにもかかわらず、準備は進んでいないようです。

日経ビジネス誌に、オービックビジネスコンサルタントが昨年実施したアンケート調査の結果について掲載されていますが、「マイナンバー」への対応準備を進めていた企業は、回答した約2,400社のうち6%に過ぎなかったようです。

制度開始後、企業は、従業員とその扶養家族全員の番号を集め、源泉徴収表票などに記載することが求められます。

既に雇用している従業員はもちろん、2016年以降、採用や転職など様々な場面で、マイナンバーの提示が求められるようになります。

対象は、正社員の他、パートやアルバイトなど直接雇用する従業員の番号を全部把握 しなければならないのです。

企業は、膨大な手間とコストがかかることを覚悟しなければなりませんが、マイナンバー制度の導入後、派遣社員の活用が進む業界があるといわれています。

それに備えて、派遣会社は、今から準備していく必要があるのです。

派遣の仕事

ウクライナ紛争は2月12日にウクライナ政府軍と新ロシア派武装勢力との間で停戦合意がなされましたが、合意後も戦闘が続きました。

これは、15日の停戦発効までに最終的な領土の取り分を少しでも多くしたいという双方の野望があったからです。
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双方が合意通りに戦いを止めれば、領土のプラスマイナスはないものの、平和が取り戻せて生命、身体、財産が護られることによって望ましい姿になるはずです(D)。

しかしながら、仮に一方が武器を置いたとたんに他方が攻めてきた場合、武器を置いた側は、領土は奪われるは、命も失うはで大打撃ですし、反対に、攻めた側は、自分が停戦した場合よりも大きな利得を得ることができます(B、C)。

このようなケースでは、相手方の裏切りによるリスクを恐れるあまり、結果的に双方とも裏切り行為を選択してしまいがちです(A)。

この条件下では、自身の選択肢を変えてしまうと利得を失い、損失が悪化する状態が双方ともに存在しているわけであり、双方ともに戦闘行為を選ぶのがナッシュ均衡になります。

客観的にみれば望ましい姿にはならず、まさに「囚人のジレンマ」状態です。

もっとも、囚人のジレンマが解消できるケースもあるとされます。

第一は、裏切ると重大なペナルティがある場合(犯罪者の例で言えば、犯罪者が集団に属しており、仲間を裏切ったら命が危ないような場合)裏切りによる利得を超える損失が発生するなら裏切りは控えるでしょう。

第二は、関係が一回限りでなく長く続く場合。

条件はありますが、この場合は単純に裏切るよりも協調することにより関係を長期化させるほうが良いことがあります。

長期的利益が短期的利益を超えるなら、協調が選択肢となってくるわけです。

前回、国際関係における「安全保障のジレンマ」について触れました。

そこでは、「一国の防衛力増強が他国の不安を高め、その他国も防衛力増強に向かうため、双方とも軍拡行動をとる結果となり、軍縮はなかなか実現しない」としました。

ただ、国際関係は長期的関係ですから、前記第二によって協調行動をとる選択もあり得ます。

良好な国際関係を保つことは、長期的にはたしかに国益に合致します。

もっとも、複数の国と関わる国際関係においては、「甲国とは協調するが、乙国とは協調しない」ということもあります。

このとき、そうかといって防衛力を国ごとに分けることは困難ですから、けっきょくは防衛力増強に傾くのかもしれません。前記第一に掲げたように、重大なペナルティを課す強力な裁定者がいれば別ですが、アメリカが絶対的な覇権を誇れない現代においては、「囚人のジレンマ」は今後も続くのでしょう。

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最近、従業員の「正社員化」をすすめる企業が増えています。

つい先日、2月16日の日本経済新聞の1面も「正社員化 人材囲い込み」という記事でした。

小売を中心にパートや契約社員を正社員にする動きが加速しております。

もちろん、派遣業界においても同様で派遣スタッフの正社員化という流れはほぼ間違い無い流れと言えます。

この流れの背景にはいくつもの要因があるように感じております。

①労働人口(とりわけ若年労働者)の減少
②労働契約法の影響
③労働者派遣法改正(見込み)の影響 などです。

まず、労働人口に関してですが、総務省のWEBサイトを見ると「新成人数の推移」というものがあります。

それを見ると20年前には200万人以上いた新成人が現在は122万人。

1学年につき4割ほど人が減ればそりゃ、若者の採用は困難になります。

故に正社員化して囲い込もうと考えるのは妥当でしょう。

続いて、労働契約法の影響ですが、この法律は大きく3つの柱です。

有期雇用も継続して5年経過すれば無期雇用となるというものと、条件がそろえば期間満了による終了という雇い止めが無効になるものと、無期と有期で大きく待遇差をつけてはいけないなどの内容です。

あんまり知らない人は是非、厚生労働省で法律の確認を。

これにより有期で雇うメリットは大きく減りつつあります。

それ故に、雇うなら確保しやすい正社員という会社が増えてきているといえます。

最後に派遣法改正(見込み)の影響。

ご存知のように改正案では無期化したスタッフの抵触日は無効になります。

ここを目的に無期化へと舵を切る会社が増えております。

駆け足ですが、前回も書いたように今年は労働改革の年となりそうです。

通常業務も大事ですが、こういったことにも目を向けて

アンテナを高くしていきましょう!

派遣の仕事

優良派遣事業者認定制度は、3月上旬に最初の認定企業を公表する予定です。

認定された派遣会社は、派遣スタッフや派遣先に、「優良派遣事業者」である旨をさまざまな機会を利用して告知することになります。

当然、キャリア形成支援制度を構築済みだから認定されたのであって、厚生労働省から、その旨お墨付きをもらったことになるので、認定を受けていない派遣会社よりは、スタッフ集めに効果を発揮することになります。

第1回目の申請は、終了しましたが、来年度(平成27年4月以降)中に、申請し認定を受けることを強くお勧めします。

派遣の仕事

キャリア形成支援の内容とは?

1月から2月にかけて、東京・大阪・福岡の3会場で、「派遣法再改正の動向と施行延期による派遣元・派遣先の影響を考える」と題したセミナーを開催しました。

参加者の皆様からは、「単なる法改正の説明だけでなく、生きた内容のセミナーで参加してよかった」「今後の人材派遣会社に求められているものがよくわかった」などのご意見をいただきました。

ご参加いただいた皆様、ありがとうごいました。このセミナーの中では、法改正後、義務化されることにある「キャリア形成支援制度」にも触れてお話しましたが、何から手をつけてよいかわからないというご意見が多かったように思います。

今回は、キャリア形成についてお伝えしたいと思います。

キャリア形成

支援の内容は、以下のように多岐にわたっています。

①派遣社員に対して就業ニーズにあった就業機会を提供する
②スキル向上などキャリアアップを支援する
③正社員就業を希望する者にはその機会を提供する
④賃金など労働条件の向上への取り組み

このような取り組みのためには、キャリア相談や教育訓練機会の提供なども必要となります。

キャリア形成支援が派遣会社に求められる理由は?

第1に、今国会に提出される派遣法改正法案で、派遣社員に対するキャリア形成支援の取り組みを派遣会社に義務付けることによって、派遣社員のキャリアアップを支援することが考えられています。

第2に、派遣法が改正されれば、いわゆる26業務に関しても派遣期間の上限が3年とされるため、派遣会社に対して、派遣期間の上限に達する派遣社員の新たな派遣先など就業機会の確保が求められます。

また、平成24年10月に施行された派遣法(現行法)によって、派遣社員の希望に応じて無期雇用への転換を促進する努力義務が派遣会社に課されています。

つまり、派遣就業を希望する者に継続的に派遣先を紹介するだけでなく、正社員としての就業を希望する者には、派遣先や自社あるいは他企業へ正社員として就業できるように支援することが求められることになります。

第3に、派遣社員自身も派遣会社に対してキャリア形成支援を求めており、そうした要求に応えることが派遣会社にとっては、人材確保力を高めることにつながることになります。

今後、他社との差別化を図るためにも、派遣会社にとってはキャリア形成支援への取り組みがとても重要となります。

法改正後どんなことが派遣会社に求められる?

派遣会社が、キャリア形成支援制度を構築するために、まず、キャリアアップ責任者を選任することになります。

キャリアアップ責任者は、キャリア形成支援制度構築の中心となります。

冒頭に述べたように、キャリア形成支援制度は、ひとつではありませんが、改正法では、少なくとも、

①派遣労働者のキャリア形成支援相談体制の整備
②派遣労働者のキャリアアップを念頭に置いた教育訓練の整備

などが求められています。

キャリア形成支援制度を導入するに当たって、注意しなければならないことがあります。

それは、派遣労働者がすべてキャリア形成支援に積極的に取り組むわけではないことです。

派遣社員のキャリア形成に関する関心度は、

①自らキャリア形成に取り組む層
②キャリア形成に関心がある層
③キャリア形成に関心が薄い層

に分かれます。

そして、キャリア形成に関心が薄い層が圧倒的に多いのです。

そのため、この層の派遣スタッフをどう取り扱うかによって、派遣会社のキャリア形成支援制度が評価され、差別化につながるかがポイントになります。

キャリア形成支援制度を構築しても、この層の派遣スタッフがそれを活用して、キャリア形成できなければ意味がないからです。

この層に対して、キャリア形成の重要性をいかに訴えるかが最初の取り組みになります。

派遣の仕事